2024年2月17日土曜日

80287XL Hacking ハードウェア編

 最近のCPUは内蔵しているのでなじみがないですが、数値演算プロセッサ(FPU)は、昔は外付けで、なかなかなお値段の憧れの石でした。Z8000もFPUを内蔵しておらず、ZilogはZ8070のリリースをアナウンスしていましたが、結局出なかったようです。CP/M-8000には、Z8070をエミュレートするライブラリが含まれているのですが、試してみたところ実用的なスピードではありません。

昔、Intelの80286用の数値演算プロセッサ80287がI/Oデバイスのように扱えると、どこかで読んだ気がしていたので、Z8001につなごうと80287XLを入手してありました。本当につなげらるのか事前確認するため、これをArduino Megaに接続して検証してみました。

接続は下図になります。


クロックには10MHzを供給し、CKMをLにして内部で2分周しています。残りの信号やデータバスはArduinoのI/Oに接続します。基本的に、データシートの通りに信号を動かしながら、データバスからデータを与えたり読んだりすれば動作します。

ちゃんと調べずに高性能というだけで287XLを入手していたのですが、ただの287だと接続信号数が多くむずかしいようです。287XLではNCになっていますが、287だとこれらのピンに役割があり、CPUの対応する信号に接続することになっていてます。287はCPUの動作状態を監視しているようですが、287XLではこれらは要らないと判断され廃止されたようです。

データシートを読んでみると、確かに287/287XLは286からはI/Oデバイスと扱われており、アドレスが割り当てられています。NPS#1とNPS2がチップセレクトにあたり、CMD0とCMD1がアドレスに当たり、下のような組み合わせがあります。

 CMD0=L, CMD1=L :コマンド書き込み、CWとSWの読み込み
 CMD0=H, CMD1=L:データ読み書き
 CMD0=L, CMD1=H:例外ポインタ書き込み

例外ポインタ書き込みは、まだ何なのかわかっていません。これ以外の組み合わせは予約されています。NPRD#とNPWR#は、I/Oリードとライト信号となっています。

データバスは16bitなのですが、x86系はリトルエンディアンなので、コマンドやデータをやり取りするには少し注意が必要です。データの場合は、D15-D8が上位バイトでD7-D0が下位バイトで問題ありませんが、コマンドは上下バイトを入れ替える必要があります。

x86のアセンブリ言語をみると、287のコマンドに続いてアドレッシングモードを含んだオペランドが来るのですが、287からはメモリアクセスができないので、必要な場合はCPUがメモリアクセスして287にデータを渡しています。その際、287はPEREQをHにしてデータ転送を求めていること示し、CPUはデータ転送をする前にPEACK#をLにし、データ転送要求を受け付けたことを287に伝えます。データは複数回数行う場合もあり、1転送ごとにPEACK#をHに戻す必要があるのか、すべての転送が終わるまでLに保持しておいても良いのかは不明です。試してみた感じでは、PEACK#は一度もLにせずHのままにしておいても動作するようです。

BUSY#は287がコマンドを実行中かを示しているので、この信号をみて処理の完了を確認でき、ERROR#でコマンドの実行が正常に終わったかを判断できます。

これだけ知っていれば、287XLは動かせます。


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